2020.10月号

工事代金の未回収に悩まないための対策は!?

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あいけん会員様のご相談

当事務所はあいけん法律顧問弁護士として、あいけん会員の皆様からの無料法律相談をお受けしていますが、その中でも、工事を実施したものの代金を回収できない、というご相談が一定数あります。そこで、今回は、工事代金の未回収が生じないようにするための対策について、解説していきたいと思います。

工事代金が請求できる証拠を固める!

工事代金を回収できないといった趣旨のご相談をいただいた際に、弁護士の立場から気になる点としましては、まず、こちら側の請求権を立証するための証拠が揃っているかどうか、というところです。

例えば、すべて口約束で工事をしてしまっていると、後から代金額で争いになったり、そもそも代金を支払ってもらえるのか、というところで行き詰ってしまうこともあります。そのため、工事を受注するときには、工事内容や工事代金等を記載した書面を交わすことが望ましく、仮にそれが難しいという場合でも、電子メール等の何らかの証拠が残る形でやりとりをしておいてもらうことが有効であると考えられます。

発注者の無資力が疑われる事情がないか、注意して確認する!

次に、こちら側の請求権が立証できる状態にあるとしても、相手方が難癖をつけて支払ってこないということは往々にしてあります。そういった場合には、法的手続を視野に入れた対応を行っていくことになりますが、その際に検討すべき点が、相手方の資力の問題です。仮に、裁判をして勝訴したとしても、相手方が一文無しであれば回収はできません。そのため、あまり付き合いのない業者等から工事を受注するときは、支払いを適切に受けられる見込みがあるのかどうか、関係業者に話を聞くなどして検討していただくことが望ましいと言えます。

また、見知らぬ業者からいきなり高額・後払いの受注をすると、仮に回収ができなかった場合のリスクも高くなりますので、なるべく低額の工事から受注したり、先払い分を増やすなどの工夫をしてもらうことも重要です。加えて、支払いをしてこなくなる業者の中には、最初は一応支払いをしてくるものの、途中から支払いをしてこなくなるというケースもあります。

こういったケースでは、請け負った業者は、相手方から違約金が発生するなどと脅かされて工事を続けてしまい、その結果、高額の工事代金が回収できなくなる、といった事態に陥ることもあります。このようなケースでは、代金の支払いが受けらない状態になれば、工事を止めるなどの対抗策を講じて、被害が大きくならないようにすることも考えられます。

工事中、工事後の代金支払いで困りごとが発生したら、まずはご相談いただき、トラブルに巻き込まれないように対応していきましょう!

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