元請工事を行う事業主様に加入する義務がある労災保険、労働者を雇っている事業主様に加入する義務がある雇用保険を、建設業の業態にあわせてご用意しております
労働者とは
従業員、正社員、アルバイト、パート、日雇い等の呼び方に関わらず、雇われて賃金を支払われる人を指し、雇っている側の事業主は含みません。また、役員や家族従事者も原則労働者とはなりません。
建設業の労働保険には、
『現場労災保険』、『事務所労災保険』、『雇用保険』の3つがあります
国の労災保険(労働者災害補償保険) は、事業に使用される「労働者」の保護を目的とする制度です。そのため、事業主や自営業者、家族従事者、役員など「労働者でない者」の災害は、保護の対象ではありません。
しかし、労働者に準じて保護される特別加入制度もあリます。(任意加入)
元請工事現場ごとに必要となる『現場労災保険』、工場や作業場などの工事に付随する作業から営業、事務の業務のための『事務所労災保険』、労働者の失業時の生活や雇用の安定のための『雇用保険』で構成されており、それぞれの雇用形態やお仕事の受け方によって国の制度により加入が必要となります。
万一、事業主が労災保険の加入手続を怠っている間に労災事故が発生した場合、さかのぼって国から保険料を徴収される他に、労災保険給付金額の100%または40%を国から徴収される制度(費用徴収制度)があります。ご注意ください。
労災保険の仕組み
加入対象者や給付内容、認定基準など保険の内訳をご説明いたします
現場労災保険の対象となる方
現場労災とは、元請会社が元請工事現場ごとにかける労災保険です。
自社で雇用する労働者、下請会社で雇用されている労働者
(特別加入の対象者)事業主、家族従事者、役員
※下請会社の事業主について
現場労災に特別加入している場合、自社の現場労災が適用されます。
事務所労災保険の対象となる方
現場以外(事務所・作業場など)で従業員が作業する場合に必要となる労災保険です。
自社で雇用する労働者
(特別加入の対象者)事業主、家族従事者、役員
事業主・家族従事者・役員等
現場労災に特別加入していても、工事現場以外の業務中のケガは、現場労災では補償されません。
工事現場と工事現場以外の業務の両方を行う場合は、特別加入も現場労災と事務所労災の両方に加入をおすすめします。
(ただし、両方とも、事業主本来の業務、特別加入者のみで行う所定労働時間外の業務等は適用外です)
労働者(常用、日雇い、パート、アルバイト等)
工事現場の業務中のケガ→現場労災、工事現場以外の業務中のケガ→事務所労災 が適用されます。
現場労災の保険料は元請工事の金額で計算し、事務所労災の保険料は労働者の賃金で計算します。
工事現場と工事現場以外の業務を兼務する労働者は、毎月の業務日報・出勤簿等でそれぞれの就業時間を分けて記録し、工事現場以外の業務に係る賃金を把握します。(その賃金を合計して保険料を計算します)
労災保険給付の内容
以下の他に、傷病補償年金、介護補償等の給付があります
– 労災給付についてのご注意事項 –
給付基礎日額について
労働者:けがをする直前3か月間の賃金の総額÷暦日数で算出(平均賃金に相当する額です)
特別加入者:事前に決めて加入(下記の保険料一覧表をご確認ください)
※2020年9月より、複数事業労働者は各就業先の賃金を合算した額で、保険給付されるように変わりました。
労働者の賃金総額がわからない場合はこちらを参考にしてください
労働者の休業補償給付は、賃金を受けられないときに給付されます
(出勤簿、賃金台帳の添付が必要)
休業の最初の3日間は、事業主が平均賃金の6割以上を補償する義務があります(通勤災害は除く)。休業の補償は非課税ですので、賃金とは区別して支払います。
特別加入者の休業補償給付は、全部労働不能であることが支給の条件となります。
全部労働不能とは、入院中または自宅就床加療中、もしくは通院加療中であって全く働けない状態をいいます。
電話の応対や現場での指示など、一部でも労働可能な場合は支給されません。
認定基準
以下の場合に、労災事故として国から給付されます
- 労働者の場合 -
業務遂行性(事業主の指揮命令下で仕事をしていたこと)
業務起因性(業務と災害との間に相当因果関係が認められること)
※現場労災の例
請負工事現場における作業中の事故、請負工事に必要な準備または後始末作業中の事故
- 特別加入者の場合 -
労働者の所定労働時間内に特別加入申請した業務、及びこれに直接附帯する業務中の事故
労働者と一緒の時間外労働または休日労働に応じた就業中の事故
上記2項目の前後して行われる業務を特別加入者のみで行う業務中の事故
※注意
事業主本来の業務(株主総会、取締役会、事業主団体の会議への出席、得意先の接待等)、特別加入者のみで行う休日労働等における事故等については、労災は適用されません。ご注意ください。
※労働者・特別加入者ともに、建設工事に関連する工事現場等での業務によるケガ以外は、現場労災では補償されません。
※労働者・特別加入者とも、工事現場への合理的な経路及び方法での通勤途上のケガについては、通勤災害として給付されます。ただし、自動車事故の場合は自動車保険を優先します。
※次の場合は労災事故とは認められません
①業務とは無関係なことが原因のとき、②故意に災害を発生させたとき
③個人的な恨みなどにより第三者から暴行を受けたとき、④地震・台風など天災によるケガ
など
雇用保険の仕組み
加入対象者や給付内容など保険の内訳をご説明いたします
雇用保険の対象となる方
雇用保険とは、労働者の職業の安定を図ることを目的とした国の制度です。
常用の労働者
パートタイマー
1週間の所定労働時間が20時間以上あり、31日以上雇用の見込みがある人
※法人の役員について
原則、被保険者にはなりません。ただし、従業員としての身分を有し、労働者的性格が強く、雇用関係が明確で、賃金の割合が役員報酬よりも多い場合は兼務役員の手続を行い、被保険者になることがあります。
※65歳以降に新たに雇用された方も対象
平成29年1月から65歳以降に新たに雇用された人も被保険者になります。
年齢による制限はなくなりましたので、ご注意ください。
雇用保険の給付内容
- 事業主に対して -
特定求職者雇用開発助成金
高年齢者や障害者等の就職困難者を国の機関であるハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して、賃金相当額の一部を助成
雇用調整助成
景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、休業、教育訓練、出向により労働者の雇用の維持を図る事業主に対し休業手当、賃金の一部を助成)などの各種助成金の受給。(受給要件あり)
- 被保険者に対して -
求職者給付「基本手当」(いわゆる失業手当のことで、離職票の作成手続きが必要)
離職し、「就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態」の時、賃金日額の45~80%を受給できます。
※賃金日額とは、原則として、離職の日以前6か月の賃金の合計を180で割って算出した金額です。
【求職者給付の受給資格】
離職の日以前2年間に12か月以上(特定受給資格者は1年間に6か月以上)被保険者期間があること。
※被保険者期間とは
雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていった期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または80時間以上ある月を1か月と計算します。
雇用継続給付「高年齢雇用継続給付」
60歳以上65歳未満の被保険者(ただし被保険者期間が5年以上必要)が、60歳時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働いている場合に、ハローワークへの支給申請により、支払われた賃金の最大15%の給付金が支給されます。
※その他に「育児休業給付」「介護休業給付」「就業手当」「再就職手当」「教育訓練給付金」等があります。
※65歳以上の被保険者は「高年齢被保険者」といい、離職の日以前1年間に被保険者期間が6か月以上ある場合に、基本手当に代えて「高年齢求職者給付金」として一時金が支給されます(年金との併給可)。
保険料・加入金・年会費・委託手数料・必要書類
加入に際して必要な費用と必要書類をご説明いたします
保険料
賃金や元請工事の請負金額によって保険料が変わります。詳細は保険料⼀覧表をご確認ください
加入金(新規加入時のみ)
5,000円
年会費
19,000円(/年)
労働者の人数等によって変わります。詳細は⼀覧表をご確認ください
注意事項
お申込の際は、必ずご確認ください
特定業務について(特別加入を希望される場合)
特別加入の方で、特定業務に従事したことがある方は申込時にご申告いただく必要があります。
その従事期間が一定以上の場合は加入時に健康診断を受けて頂く必要があります。
特定業務の内容:粉じん作業(アスベストを含む)を行う業務、有機溶剤業務、身体に振動を与える業務、鉛業務
上記業務に従事していた場合はPDFにて詳細をご確認ください